blogはメモ代わりにも使えるので、読書ノートとして使ってみよう。
「生物学名概論」(東京大学出版会)より
●学名の発音は自由である
英語圏は英語流、ドイツ語圏はドイツ語流に読んだりする。最近は、学名を英語読みにする人が増えている。カエデの属名、Acerは、英語圏ではエイサーなどと読む。アーサー、アーセル、アセル、などと読んでも間違いではない。ただし、ラテン語読みではアケル。
ちなみにラテン語読みの原則は
・母音は基本的にローマ字読みでいいが、auとoeに限って、アイ、オイと読んでもいい。
・子音
b 濁音
c 常にk(ク)と読み、シ、チではない
g ガギグゲゴと読み、ジとかヂではない
h 有音
s 常に清音
v wと同音だが、v音としても間違いではない
x 常にクスと発音し、濁らない。
イギリスの昆虫学者、G.W.Kirkaldyは、Marichismeという属名をつくったが、これは「マリーよ、キスしておくれ!」という意味で、後年、ロンドン王立昆虫学会は、正式にこれを非難した。
いちばん長いと思われる属名は、甲殻類の
Siemienkiewicziechinogammarus
学会のしきたりで、動物、植物、細菌学では表記が違う。
・動物学では命名者名と発表年の間にコンマを使用する Apis mellifera Linnaeus,1758
・植物学ではコンマを用いず、発表年をカッコでくくる Ardisia quinquegona Blume(1825)
・細菌学ではコンマを用いず、命名者名と発表年を併記する Proteus moganii Yale 1939
正式には、属名、種小名はイタリック書体にする必要があるようだが、マックだと面倒なので省略。
ちなみに、タイトルの「私に触るな」は、キツリフネのImpatiens noli-tangereの種小名は、ラテン語で私に触るなという意。英名もTouch-me-not。
ついでにいえば、属名のImpatiensは、「もう我慢できない」という意味。熟した果実に触れると、実が弾き飛ぶことから。洒落てますね。
海を歩く者とは、数少ない海の昆虫、ウミアメンボの属名、Halobatesから。
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